高校生のバイトで最低賃金以下で働くのは違法なのか?

高校生のバイトの時給が大学生など他の人に比べて低いのはよくあることです。時給が低いのは仕方ない、と割り切ってバイトをして給料明細をよく見ると、最低賃金より低い時給になっているのでは?と思ったりすることもあるかもしれません。

それでも「高校生だから仕方ない」と思ってバイトしている人もいると思います。しかしあえて時給を低くしているのって納得できませんよね。でも高校生の時給も最低賃金を保証されるのでしょうか?

今回は高校生の時給が最低賃金を下回ってしまうのは法律的にどうなのか、詳しく解説してみました。

実は2種類ある最低賃金

バイトをしている方はもちろんのこと、バイトをしていない方でも聞いたことはある言葉が最低賃金です。もちろん意味は言葉通りで、社会に出て働く場合は最低の賃金が労働基準法によって決められています。

また最低賃金には2種類あるということを知っておかなかればなりません。最低賃金には地域別最低賃金と特定最低賃金(産業別最低賃金)がありますが、すぐに想像がつくのは「地域別最低賃金」ではないでしょうか。

地域別最低賃金と聞くと想像つきますが、こちらは都道府県ごとに決められた、学生バイトも含め全ての人にこの金額以上の時給を支払われないといけないという金額です。

東京都の最低賃金は1041円だけど鹿児島では821円(令和3年10月時点)など地域によってかなり差がありますが、この金額以上の時給をもらえるのは高校生も同じです。

(詳細:地域別最低賃金の全国一覧

一方、特定最低賃金法とは産業別最低賃金とも呼ばれていますが、人々の生活に必要不可欠な産業や特殊な技能が必要な職種などに対し、他より高い最低賃金を設定したほうが良いと都道府県ごとに定められた金額です。

対象となる業種は様々ありますが、例えば自動車や飛行機の部品、電子機器の回路などを製造する業種で地域別最低賃金より数十円高く設定されている地域もあり、基本的に地域別最低賃金より同等、もしくは高くなっているケースばかりです。

(詳細:特定最低賃金の審議・決定状況

最低賃金は変更される

地域別最低賃金は毎年見直しが行われ、できるだけ全国で地域差が出ないように改定されていきます。厚生労働省から都道府県へ引き上げ額が提案され、実際いくら引き上げるかは都道府県の労働局が決めていきます。

一方特定最低賃金は、各業種から厚生労働省に引き上げが必要だと申請されることにより審議、引き上げの決定がなされます。地域別最低賃金が年々引き上げられたお陰で、特定最低賃金とさほど差がなくなってしまい意味をなさなくなってしまっている業種・地域もあるようです。

今後も地域別最低賃金が上がっていくようであれば、特定最低賃金は撤廃されるかもしれません。

高校生が最低賃金以下でバイトするのは違法?

高校生のバイトの時給は大学生や主婦のパートの時給より数十円低い場合が結構あります。社会経験や実務経験のない高校生を雇うのは、挨拶や作法など通常省ける部分も教育する手間がかかるからなどの理由があるようです。

しかしきちんと法律を守り運営しているバイト先なら、高校生バイトでも最低賃金以上の時給をもらえているはずです。なぜなら地域別最低賃金は高校生バイトを含む全ての人に適用されなければなりません。

ということは、高校生のバイトでも最低賃金は保障されるということになります。よって、最低賃金以下でバイトをしている場合は、労働基準法違反となる可能性が大です。是非一度、自分の住んでいる地域の最低賃金を調べてみてください。

(詳細:地域別最低賃金の全国一覧

最低賃金を下回っていても問題ないケースとは?

例えば高校生でとある業種でバイトをしている人が、自分の住んでいる県の労働局のホームページを見て「私のバイト先はこの県の特定最低賃金に指定されているみたい!」と思ったとします。

ところが次に「あれ、私の今の時給、最低賃金より低いじゃない!」と思うかもしれません。実は特定最低賃金には例外があって、18歳未満の人がその業種で働いても特定最低賃金は適用されないのです。

他にも、65歳以上のシニアバイトや働き始めて3ヶ月未満、所謂「試用期間中」の人などもこの例外に当てはまります。よって、最低賃金以下でバイトをしていても、問題にならないケースもあるので知っておきましょう。

しかし、18歳未満など特定最低賃金の例外になってしまう人たちも、地域別最低賃金は例外なく支払われなければなりません。試用期間が終わったのに最低賃金以下などの場合は問題です。ふたつの最低賃金を是非併せてチェックしてみてください。

日給の場合は時給換算にしてチェック

単発バイトなど日給でお給料を支払われることもありますよね。その場合も「日給÷勤務時間」で計算をして、1時間あたり地域別最低賃金以上の金額を貰えているかを確かめる必要があります。

しかし特定最低賃金が日給で設定されている地域・業種もあり、こちらを勤務時間で割ると地域別最低賃金より低くなってしまうケースもあるようです。自分のお給料がどちらかの最低賃金以上になっていること、関係ない業種なのに低い方の最低賃金に設定されていないことを確認しましょう。

ブラックバイトなので相談したい場合
万が一、問題があった場合のどこへ相談したらいいのか?泣き寝入りだけはしたくないですよね。
もし「高校生だからこの時給だよ」と言われた時給が最低賃金以下だった!というときは厚生労働省の窓口や都道府県ごとの労働基準監督署へ連絡しましょう。

(詳細:全国労働基準監督署の所在案内

高校生バイトも例外なく適切な時給を貰う権利がありますので、ブラックバイトを許してはいけません。
バイト先の名称や住所、自分が1日何時間・週何日働いているか、いつから働いている、時給はこれしか貰えていないなど具体的な情報を提示することで、労働基準監督署も法令違反の有無の調査などをしやすくなります。
よく調べて正確な情報提供をしましょう。

実際、最低賃金のバイトは多いのか?

実際、求人サイトや求人誌などで最低賃金以下の時給のバイトは多いのでしょうか?もちろんそんなバイトがあっては法令違反ですから求人サイトなどで見つけることはできません。タウンワークなど大手の求人サイトでは掲載されていません。

但し、個人のお店などで店頭の張り紙でバイトを募集している場合、もしかしたら最低賃金以下の時給が提示されているかもしれません。バイトを始める前にあらかじめ自分の住んでいる地域の最低賃金、特殊な業種の特定最低賃金を把握し、それ以上の時給が提示された求人情報を探しましょう。

昔は最低賃金以下の違法な求人など多かったです。労働基準法に違反している雇い主なども多かったのですが、今ではネットの普及によって、ちょっとでもブラックな待遇などで募集をしてしまうと、すぐに拡散され炎上してしまうでしょう。

今では最低賃金を下回るような求人は激減しました。そういう意味では良い時代になっていると思いますが、万一働き始めてから明らかに低いお給料しか貰えなかった場合は、すぐに辞めるなり厚生労働省の窓口などに相談しましょう。

高校生のバイトで最低賃金以下で働くのは違法のまとめ

高校生でも最低賃金以上のお給料がもらえるということを見てきました。もし最低賃金よりも下回った時給でバイトをしているなら、問題です。そんな時は速やかに労働基準監督署へ連絡しましょう。

また例外として、試用期間などは最低賃金以下でも認められていますので、最低賃金より低い時給でバイトをしていたとしても違反していないケースもあります。但し1年など試用期間が続くのは明らかにおかしいので、このような場合は一度相談してみるといいでしょう。

高校生バイトも例外ではなく大切な労働力です。きちんとお給料が支払われ、大切にしてもらえるバイト先に出会いたいものですね。

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